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グリップギヤチェンジ

「グリップギチェンジ」★素人インプレ系。

こういう基本的なところは、もっと昔に書いておくべきだ。すっかり慣れて、それが当たり前になってしまうと、はじめ感じた新鮮な驚きなんかの感情を忘れてしまうではないか。え、待てよ、そんなに驚いた憶えがないぞ。だからこそ最初にこの記事を書こうと思わなかったのではないか。ということは、特徴的で、よく取り上げられてはいるけど、クセのある、馴染みにくい機構ではないということだ、グリップチェンジ。たぶん。

ハンドチェンジとか、ハンドルチェンジとか、色んな呼ばれ方をするけど、要するに、普通のバイクでは左足で操作するギアチェンジを、クラッチを握った左手でハンドルグリップごとパコっと回すことでこなしてしまおうという、「クラッチレバーと一体化した独自の」(成川商会の広告より)機構※1であります。言い回しに苦労した割にいまいちだな。二輪車全般に疎い私だけでなく、普通にベスパの存在くらい知っている人でもグリップチェンジのことは知らない人もいるものだ、というのを知って、改めて紹介しましたとさ。たしかに、専門誌でも読まなきゃあえて触れられていないからねぇ。そうです、ベスパはマニュアルシフトなのであります。今の時代、スクーター(=便利な乗り物)で、オートマじゃない(=便利じゃない)のなんて、現行車ではベスパくらいじゃないだろうか※2

そんなベスパも、Vintageシリーズは既に生産終了。残る現行PXシリーズも排ガス規制の問題で色々。後継のET2、ET4、GTはみんなオートマ。世も末だ。違うか。


ところで、なぜ左手に操作を移したのか。ギアボックスはエンジン近くにあるので、足元に操作系を置いたほうが当然機構としてはシンプルだ。ベスパ初期のロッドチェンジモデルなんてのは、ギアボックスからハンドルまで、“棒”ではるばる動きを伝達しているらしいし、もっと取り回しに融通の利くワイヤー方式になってからは、ワイヤーが切れるという問題も生じている。機械の立場からすれば、決していい選択ではない。何でも、足での操作に納得いかない設計者が考え出したそうだが、確かに、信号待ちでニュートラルで停止して教習所の教え通り後輪ブレーキをかけて左足を地面について停まっているバイクが、信号が変わる前に一旦後輪ブレーキを放して右足で車体を支えつつ左足でギアをローに入れて、再び左足を地面について右足をブレーキに乗せ直して青信号を待つ(わざとわかりにくく書いてみた)のを目にする度、何とも言えない違和感を覚える。二輪車は、走っている時以外は常に支えを必要とするのだ。片足を完全に操作から開放しようという考えは、うなずける。カブにクラッチレバーがない(配達等で物を持ったまま乗れるように、左手を完全に操作フリーにした、らしい。何とも不思議な半オートマ)のと同じだ。同じにするなよ。

■乗ってみて

「新車の時はすこしギヤチェンジが固いですが云々」と成川商会の広告に書いてあるほどだから、はじめは相当重いんだろう。しかし、私のET3は新車ではない上に、GARAGE TOMIOKAオリジナル強化ワイヤーが組んであるので、ノーマルとはだいぶ使い勝手が違う(とにかく軽~い)と思われる。また、チェンジ/クラッチのワイヤー切れ問題も専門誌で頻繁に取り上げられているが、GARAGE TOMIOKAオリジナル強化ワイヤーを組んでいれば、そういったトラブルはほぼ皆無といっていいだろう(あくまで消耗部品なので、永遠に切れないわけじゃありません)。さあ、あなたも今すぐワイヤー交換!…一寸宣伝してみた。

ただ、それでもET3のクラッチというのは、通りすがりの国産のでかいスポーツバイクに乗っている人が二本指で軽々とクラッチレバーを操作しているのを見て愕然とする程度には、重いらしい。
[2003年4月17日]


※1 今でこそベスパのアイデンティティのように語られてるけど、当時としては一般的な機構だったという話を聞きます。当時の人間じゃないのでわかりませんが、ランブレッタとか、ラビットとか、同時代のマニュアルシフトスクーターはみんなそうなんじゃないでしょうか。

※2 広辞苑第五版(岩波書店)によると、「スクーター」とは、「(1)小型オートバイの―。自動変速装置を有し、車体にまたがらず、腰を掛ける形式のもの。」だそうだ。マニュアルシフトスクーターは、そもそもスクーターじゃなかった。
[2006年1月19日]

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